富山県立大学情報工学部知能ロボット工学科

太田 優一

「王道じゃない」から、面白い

知的電子デバイス講座講師太田 優一

縁の下の力持ち、パワー半導体

私が研究しているのは「化合物半導体」と呼ばれる分野です。スマホやパソコンに入っている半導体など、多くの半導体はシリコンでできているのですが、私が研究しているのはシリコンではない半導体です。LEDのような光るもので、2014年にノーベル物理学賞が贈られた青色LEDの窒化ガリウムも化合物半導体の代表例です。
きっかけは「少し変わったものを研究してみたい」と思ったことです。半導体というとシリコンが王道ですが、シリコンではできない、光るとか電気的に強いとか、そういった変わった特性に面白みを感じたので、この分野に進んでみようと思いました。
特に注力しているのは「パワー半導体」です。世の中の電気は交流で運ばれてきますが、実際に使うには直流に直す必要があります。その交流と直流の変換にパワー半導体が使われています。昔のACアダプターは大きかったですが、最近だいぶ小さくなりました。あれはパワー半導体に新しい材料が使われることによって小型化され、さらには省エネにもなりました。

AIを使ってどんどん研究を進める

最近では、AI(人工知能)の力を使って、新しい半導体材料を効率よく見つけ出す「マテリアルズ・インフォマティクス」という方法にも取り組んでいます。これらの研究は、省エネな電子機器や高性能なスマートフォン、電気自動車などの開発に貢献し、環境にやさしい社会づくりにもつながります。
AIの進化は研究に大きく関係しています。これまではコンピューターに情報を入力して直接計算させていましたが、これからはAIが、例えばある物質の結晶構造を入力すると、瞬時に「これは透明です」「これは硬いです」といった性質を予測してくれるようになります。究極は逆問題といって、「透明で硬い物質が欲しい」と入力したら、AIが「これです」と物質を提案してくれるようになると思います。まだそこまでは至っていませんが、将来的にそうなれば研究のスピードは大いに上がるでしょう。

富山なら落ち着いて研究できるワケる

研究は、実験前に「こうなるであろう」と予測ができた時、そしてそれが実験によって証明された時が一番嬉しい瞬間です。ただ、そううまくはいかないことの方が多いのが現実です。そんな時は、色々な人とディスカッションをして、違うアプローチを取ってみたり、他の研究者の方と協力し合ったりします。そこも一つの楽しみではあります。
休みの日は、ゆっくり寝て過ごすことが多いです。趣味は読書や将棋など。インドア派なので、賑やかな場所へ出かけるよりも、家でのんびりと自分のペースで過ごすことに心地よさを感じます。
私は、富山に引っ越してきて、まだ1年くらいです。富山の夏は暑く、冬は雪が降ります。いいところは、魚が美味しいところですね。雄大な立山連峰など自然が豊かで、落ち着いて研究に取り組める環境だと思います。

「未来の材料」を一緒に発見しよう!

大学では、すぐに役立つかどうかはわからなくても、未来の社会にとって大きな意味を持つ研究に取り組むことができます。パソコンが好きな人や、物理とか数学の計算関係が得意な人に向いているでしょう。これからAIなどの新しい技術がどんどん発展するので、今まではできなかったことがどんどんできるようになってくる時代です。アイディアや意欲がある学生さんだったら、この分野でどんどんトライしてほしいです。まだ誰も見つけていない新しい材料を、一緒に探してみませんか?