
光でがんを治す
有機結晶ってこんなにスゴい

光でがんを治す
有機結晶ってこんなにスゴい
私の研究室では「有機結晶」という物質が持つ光る性質(光学特性)を調べて、新しい技術に応用する研究をしています。雪の結晶のように、原子や分子が規則正しく並んだものを「結晶」と呼びますが、中でも有機物でできたものが「有機結晶」です。この小さな結晶が、未来の医療や私たちの生活を大きく変える可能性を秘めているんです。
皆さんが使っているスマホのきれいな画面。一部のスマホのディスプレイには、「有機EL」という、電気を流すと有機物自らが光る現象が利用されています。私の研究では、この有機ELを「がん治療」に応用しようとしています。具体的には、がん細胞のすぐ近くに、この光る有機EL素子を貼り付けます。そしてワイヤレスで電波を送って光らせると、がん細胞を攻撃する活性酸素の一種(一重項酸素)に変化するのです。この方法なら、放射線治療のように体に大きな負担をかけることなく、がんを治療できる可能性があります。
私は子どもの頃から理科や数学が好きで、自然現象を調べる仕事をしたいとずっと思っていました。そうなると、研究者になるのが一番いいかなと思い、この仕事に就きました。大学でさまざまな分野に触れる中で、半導体材料が持つ「光る」性質に強く惹かれ、「この研究をもっと続けたい」と思ったのが、今の道に進む大きなきっかけです。
研究は、一つのことを黙々と突き詰めるイメージがあるかもしれませんが、実際は多くの人との協力で成り立っています。セミナーで知り合った他の研究室の仲間や、他大学の先生方と一緒に研究を進めることも少なくありません。自分一人では思いつかないようなアイデアが生まれたり、専門外の知識を教えてもらえたり、人とのつながりが研究を大きく前進させてくれるのです。
研究の毎日は、試行錯誤の連続です。「こうすればうまくいくはず」と思っても、なかなか結果が出ないことがほとんど。特に、まだ誰も作ったことのない新しい有機物の結晶を作る時は、学生たちと「ああでもない、こうでもない」と議論しながら、何度も結晶作製に挑戦します。でも、その苦労があるからこそ、狙い通りの結晶ができた時の喜びは、言葉にできないほど大きいです。これが研究の醍醐味です。
休みの日は、日本や海外の映画・ドラマを鑑賞してリフレッシュしています。アマゾンプライムやHuluなどで、面白そうな作品を探しては楽しんでいます。本来は旅行も大好きなのですが、最近はなかなか時間が取れず、学会のときに少しだけ観光を楽しむ程度です。学会や研究会で出会った人と食事することも楽しみの一つです。
大学は、専門知識を深めるだけの場所ではありません。研究を通して、一生付き合える仲間と出会える場所でもあります。辛い時も楽しい時も一緒に過ごした仲間は、何でも話せる良き理解者になります。富山県立大学では、学生が一人でアメリカの学会に参加するなど、世界を舞台に活躍するチャンスも広がっています。
皆さんには、特定の分野にこだわらず、物理、化学、生物など、色々なことに興味を持ってほしいです。ものづくりや、コツコツ地道な作業が好きな人なら、きっと研究の面白さに気づくはずです。大学には、あなたの好奇心を満たしてくれるたくさんのテーマと、素晴らしい仲間たちが待っています。ぜひ、大学という冒険の舞台で、自分の「好き」を見つけてください。