富山県立大学情報工学部知能ロボット工学科

松本 賢太

「動き」を科学する、
モーションキャプチャー

精密工学講座講師松本 賢太

動きを数値で見るとわかる凄いこと

皆さんは「モーションキャプチャー」と聞いて、何を思い浮かべますか?もしかしたら、VTuberをイメージする人もいるかもしれません。VTuberは、自分の動きをデジタイズして、その動きをリアルタイムでアバターに反映させています。
私の研究室では、この「モーションキャプチャー」という技術を使って、スポーツや人の動きの謎を科学的に解き明かす研究をしています。たくさんのカメラの前で、体にマーカーを付けたスーツを着て動くと、その動きが三次元の数値データとして記録されます。それを分析することで、「このスポーツ選手はこういう特徴がある」「こうすればパフォーマンスが上がる」といった、動きのコツや法則を見つけ出すことが可能です。単に技術を開発するだけでなく、スポーツ選手のトレーニングやケガのリスク改善など、さまざまな課題解決に取り組んでいます。

大谷選手も実践!データが解き明かす「強さ」の秘密

「動き」をデータ化する研究は、すでに多くのスポーツ現場で活用されています。日本のプロ野球の選手はもちろん、メジャーリーグの大谷翔平選手も体やバットにセンサーをつけて練習しているところを見ますね。ハンマー投げの室伏広治選手が自身の投てきフォームを研究したり、フィギュアスケートの羽生結弦選手が4回転半ジャンプ成功の鍵を探るための研究など、多岐に渡ります。選手のパフォーマンス向上だけでなく、より性能の高いスポーツ用具の開発にもこの技術は欠かせません。
応用範囲はスポーツだけにとどまりません。例えば、ロボットに人間の動きを学習させたり、より効率的な動き方を分析したりと、将来的にはロボット開発にもつながる可能性を秘めています。

失敗やケガの経験から「なぜ?」の探求へ

この研究を始めたきっかけは、自分自身のスポーツ経験にあります。中学生からハンドボールをしていたのですが、練習のしすぎでケガをしてしまうことがありました。その時、「どうすればケガを防げるんだろう」「もっと効果的な練習方法はないか」と考えたのが原点です。感覚や経験だけでなく、データに基づいて動きを「見える化」できれば、多くの人の役に立つのではないかと思いました。
現在は、メーカーと共同でゴルフスイングの研究をしたり、スポーツで起きる「イップス」という現象の原因を探ったりしています。大谷選手も、なぜ160キロの速球を打てるのか。彼の筋力だけでなく、常人離れした予測能力や体の使い方に秘密があるはずです。その「なぜ?」をデータで解き明かしていくのが、この研究の面白いところです。

すべては「面白い!」という好奇心から

休みの日は趣味・研究を兼ねてゴルフ(練習・ラウンド共に)をすることが多いです。最近は富山マラソンに向けて、体力強化のためにランニングやサイクリングも趣味にしています。その他、時間があれば読書をしています。
研究の醍醐味は、実験で得られたデータを眺めながら、「ここに何か法則があるんじゃないか」とチームで議論している瞬間にあります。皆さんに一番伝えたいのは「好奇心を大切にしてほしい」ということです。「これって面白いな」「もっと知りたい!」という気持ちが、研究を進める何よりのエネルギーになります。スポーツが好きな人、データを分析して考えるのが好きな人なら、きっと研究を楽しめるはずです。皆さんと一緒に研究できる日を楽しみにしています!