モクタリ パーハム

⼦どもの頃から、ピアノが⼤好き

 昔は⼀番好きな分野が音楽でした。ピアノが⼤好きだったので音楽の道に、あるいは建築にも興味があったのでそちらの⽅向に進むことも考えましたが、将来の選択肢が多くある⼯学の分野に進みました。しかし趣味の音楽は今の研究にも通じています。音楽も音響ですし、直接感情を表す言語ですから、今やっている感情音声と空間聴覚の研究にも関係あります。
 オーストラリアの首都キャンベラで⼯学を学び、そのまま博士課程へ進みました。博士課程を修了し、 28 歳の時に「世界を見たい」と思いました。8ヶ⽉のフランスでのポスドクを経て、⽇本へ。来⽇した のは 22 年前のことになります。


音声に感情を持たせることができれば

 これまでの主な研究分野は音声と空間聴覚。音声に関しては、人間が声を出すときの見えないメカニズムを可視化し、空間聴覚に関しては、人間がどのように音を聞いているかをコンピュータシミュレーションを使って明らかにしています。これらの研究は技術だけれど科学でもあると思っています。科学で理解し、技術で応用するのです。
 今の音声合成の技術では、かしこまった声しか出せません。ですから、個人性や感情を帯びた声などの様々な声を、音声合成が産出できるような技術を作ることが現在のテーマです。そのための鍵となるのが声質についての研究。今は声質をより深く理解するための基礎的な研究をしています。個人性が含まれた音声や感情豊かな音声には様々な声質が含まれています。人間が発する声質の生物物理学的メカニズムや音響特性を解明できれば、感情を理解して表現できるロボットや機械を作ることができます。
 音声認識に関しては、今後恐らく一般家庭でもロボットなどが使用されるようになる中で、声で人間の感情をキャッチできれば⼼の情報を得ることができます。(ロボットと)コミュニケーションをとる時にとても役⽴ちます。


⼯学にはアートのような 、 人間的・ 社会的な要素も必要

 今後は音声⽣成や聞こえに関する科学的な現象を明らかにすると同時に、より快適に暮らせるような技術開発(音声合成やヴァーチャルリアリティなど)を進めることを⽬指しています。この分野を学ぶ際に、人間的・社会的に⼤切なのは、技術や⼯学だけではなく、芸術や文学、音楽を知っていることです。研究員は世の中に⼤勢いますが、これからは機械が担う部分も多くなります。その機械がすべて冷たくて、ロボットのようであるのではなく、人間的な要素を持った科学技術であって欲しいと思っています。
 学⽣たちにはまず⽇本で⾊々な研究と出会って 、視野を広げ、世界へ羽ばたいていって欲しいと思っています。多くの文献を読み、自分で考え、意見を持って発言できるようになることを強く願っています。私は学⽣が少しでも自⽴して、自分の頭で物事を考えるよう促しています。正しい答えは⼀つではないかもしれません。正しい答えを探すあまりに、間違うことを恐れることはないのです。こういったトレーニングを通して、英語という言語に関してだけではなく、広い視野を持って、自分の⽣活圏だけでなく世界を見ていって欲しいと思います。



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