塚越 拓哉

 

虫からスポーツまで。さまざまなものをデータに

世界トップクラスの性能を持つ力センサを設計しています。とても高感度なので、非常に小さな力でも測れます。たとえば、ハエをセンサに乗せてジャンプする力を測ったり、アリを歩かせて足がどのタイミングで地面を蹴って歩くのか調べることができます。このようにセンサを小型化することで、ロボットに実装したり、細胞の力や料理の味など、今までなかった情報・知見を得ることができます。私の研究室では、スポーツ好きの学生がサッカーのシューズにセンサをつけて、キックしたときの衝撃を測った人もいました。テニス、ゴルフ、陸上やカーリングの計測も研究室としてはやってきましたね。

 

 

 

細胞にセンサをつけて力を測る

研究では、非常に小さいセンサも扱います。たとえば80ミクロンという髪の毛の太さほどの極小サイズです。人の細胞と同じくらいの大きさのセンサで、細胞1個の力を測ったこともあります。そのときには一つの細胞が発する力で、センサをぐにゃりと曲げたこともありました。あのときは、鳥肌が立ちましたね。将来的には、採血せずに血糖値を測る、腕の圧迫なしに血圧を測る、お風呂の中で心音を測るなどにチャレンジしています。これが実現できれば、人々が生活の中で、全く意識することなく、毎日健康診断をできる世の中になります。医療現場でももちろん役に立ちますが、ホームセキュリティの観点からも注目されている技術です。

 

 

国内外の研究仲間との絆

これまでの研究活動を通じて国内外に心を許せる仲間たちとも出会えました。特にベトナム人のヴィンさんとは大親友になりました。研究のことはもちろんのこと、家族のこと、将来のことなど、いろんな話をします。私たちはセンサ作りから実験対象の調達、実験系のセットアップまでほぼ全てを自分で準備します。データが取れ始めるまでに相当の時間と苦労を伴います。それでも最初はノイズだらけのデータしか出てきません。何度もくじけそうになりますが、仲間たちで助け合って少しずつ前へ進むことができます。

 

 

クリエイティブな作業を楽しもう

モノづくりに興味のある学生さんは是非いらしてください。自らセンサを作るためには、ある程度の時間と訓練が必要なので、より研究を深めたいと思ったら、大学院へ進学するのもいいでしょう。せっかく理工系の大学に入学したのだから、勉学や実験や演習を楽しんでください。レポートが大変だという声をよく聞きますが、データを分析して考察して自分の考えをまとめる作業は、クリエイティブで楽しいものです。また、大学ではいろんな研究室を覗いてみてください。世界でそこにしかない研究があり、知的好奇心をくすぐられるはずです。



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