野田 堅太郎

 

100ミクロンのセンサで感覚を解析

人間には五感と呼ばれる、触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚という5つの感覚があります。これらをセンサで読み取って、ロボットや医療機器に役立てる研究をしています。私が扱っているセンサは、とても小さいものです。100ミクロン、つまり0.1ミリで髪の毛と同じような大きさです。小さければ小さいほど、人間の動きを邪魔しないし、ロボットにも楽に載せることができるからです。風が吹けば飛んでいってしまうほど軽くて小さなセンサで、顕微鏡や電子戦顕微鏡などを使って扱っていきます。それほど小さくても、人の動きをしっかり測ることができるのです。

 

 

 

 

センサのついた靴で運動解析

このマイクロ五感センサは、さまざまな人間の運動を解析することができます。たとえば、センサのついた靴を履いて歩いたり走ったりすれば、足裏の力の分布など、細かい動きが計測できます。この分析を続けていけば、アスリートに「こうやったらもっと早く走れますよ」というアドバイスも可能でしょう。100ミクロンという非常に小さいサイズですから、細胞レベルでデータを解析し、健康状態を把握することも可能です。たとえば、血液をとらずに血糖値の計測や、血圧や脈拍を測るなど、ヘルスケアの分野に役立てたいと思っています。もちろん、これらの研究か得られるデータをロボットに学習させれば、人間に近い動きを実現することもできます。

 

 

一歩ずつ、着実に、ゴールへ向かう

非常に小さなセンサで測ることで、それまで目に見えなかった世界を目に見えるようにできるのが、研究の醍醐味の一つです。研究では「こういうことができるんじゃないか」「新しく知った知見で、こんなことができるんじゃないか」など、いろいろ仮説を考えます。そこから実験をしていくわけですが、達成したときはとてもうれしいです。一生懸命工夫をしながら、ちょっとずつゴールに向けて進んでいく実感があります。私は料理が趣味ですが、レシピ通りに作るのであれば、科学実験とそう変わりません。1回目はレシピ通りに、2回目は勝手にアレンジして失敗したりします(笑)。ちょっとずつ条件を変えていかないと同じ結果が出て当然なので、そこは研究に似ているのかもしれません。

 

 

特殊な機械で研究を充実させよう

私の研究室では、学生たちがやりたい研究ができることを重視しており、しっかりサポートしていきます。「絶対これをやりたい!」という何かが決まっていれば素晴らしいですが、詳しくやりたいことが決まっていなくても大丈夫です。私の研究室は、他の大学ではなかなか扱うことができない機械を自由に使うことができますから、「作ってみたいものがある、日常の不思議な現象を解明したい、とりあえず色々触ってみたい」と思う人はうちの大学に来てみてください。県立大学は、新しい設備がどんどん導入されています。失敗を恐れずに、どんどんチャレンジしていく学生さんが来てくれるとうれしいですね。ちょっとでもやりたいと思ったら、是非その思いを発揮して、どんどん前に進んでいきましょう!

 



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